JANZの活動
JANZがいかなる行事・事業を行ってきたかをその歩みの中でも辿って頂きましたが、もとより時代とともに内容は変化しており、ここでは今日の姿をご説明したい。基本的な考え方としては、参加される方々に充実感を抱いて頂くこと、杜会的に有意義であることを活動の2つの柱としています。言いかえれば、参加下さる方にとって楽しく満足して頂ける行事、なんらかの形で世の中のお役に立つ事業を心がけている。
また、80余年の伝統を大切にしつつ、新しい時代にどのように応えていくかが、大きな課題である。その実際について、以下最近の活動でご説明する。
(1)伝統的な懇親行事には、新春懇親会やわが国からオーストラリア・ニュージーランドに赴任の大使と両国からの大使ご夫妻それぞれの歓送迎会等がある。さらに両国から訪日の各界の方々を迎えての行事も随時行っている。
この内、新春懇親会は、豪、ニュージーランド両国大使公邸で交互に開催され、両大使においで頂くことが恒例になっており、会員を中心に協会が日頃親しくして頂いているゲストも賑やかに迎えている。また過去5年の間にJANZが歓迎のパーティーや食事の会などを催してお迎えした両国からの訪日の方々の中には、ニュージーランドのマオリのデーム・テ・アタイランギヤーフ女王ご一行(平成8年3月)、クイーンズランド州ロブ・ボービッジ首相(平成8年5月)、西オーストラリア州リチヤード・コート首相(同7月)ほかの名が見える。
一方、よりインフォーマルな会員懇親の会も折々に行っている。オーストラリア・ニュージーランドのワインを楽しむ会や納涼の夕べは恒例である。談笑が弾む気軽な集まりも回を重ねている。
(2)アウトドアーの懇親・交流行事には、これも伝統ある恒例の春秋のゴルフコンペがある。また近郊への遠足は、日本再発見と銘打って、歴史ある町並みや祭りをテーマに行なってきた。たとえば平成7年秋の佐原大祭や8年春の川越は、地元の協力を得て豪・NZの皆さんにも好評であった。平成9年からは12月初旬にミカン狩り遠足を垣例行事に組み込んだが、これは静岡市の日濠ニュージーランド協会との合同事業である。平成9年にはとくに日豪の学生に呼びかけ、和やかな交流をしたが、今後もそのような機会を設けていきたい。
(3)交流・懇親には、在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所との合同行事を年2回程度両国の大使館などで続けている。平成7年からはおおむね夕食会として定着させ、双方が講師を招いて興味あるテーマでお話頂いている。緒方四十郎氏の世界金融の話など好評なものが多かった。外務省の大洋州課長は定例的に講師をお願いしている。
(4)ニュージーランド大使館ならびにオーストラリアの各州政府代表事務所の協力をお願いして開催してきた、それぞれの国と州の「夕べ」も、懇親・交流に加えて、理解を深める機会を提供するものと位置づけてきた。各州代表のスピーチや資料提供を頂いているとともに出来るだけその州の食材やワインを味わってきた。
(5)両国事情ならびに日本との関係、関連する多様な事項や動向など一の理解を深めることを目標にした事業・行事は近年力を入れてきた分野である。
まず、なかば定期的に開催してきた講演会や「市民講座」がある。講演会では、平成7年10月と平成8年5月にカルバート豪州・ウィーパースNZ両大使と日本の泰斗とされる学者の講演は好評であった。「JANZ市民講座」は平成9年4月の「もっとオーストラリアを知りたい人のために」を第1回として開き、毎回3人から4人の講師をお招きして平成11年まで6回行った。2回の「風土と気質」3回の「海洋と人間」も好評であった。会湯はおおむね上智大学をお願いした。このほか、両国入国や暮らしの事情をテーマに平成10年からビザセミナーを行っている。
(6)さらに、特筆したいかかる分野の事業には、次の3つがある。
1)日豪友好協力基本条約締結20周年記念シンポジューム「アジア太平洋共同体の曙」
(平成8年10月 於奈良市)この行事は国連大学・豪日交流基金とともに主催したもので、外務省の全面的バックアップによって計画し実施した。長谷川和年元駐豪大使(元JANZ会長)を議長に、日豪をはじめインドネシア・韓国・シンガポール・米国からの著名な13人のパネリストにより、将来への示唆に富む討議がおこなわれた。
2)シンポジューム「太平洋を越える共生 資源を考える」(平成12年3月 東京)オーストラリアの資源をテーマに、聴衆とともに日頃ともすれば忘れがちの私たちの暮らしの中の資源問題を考えようというシンポジュームで、資源開発に実際に携わったビジネスマンや経済学者に講演と討論をお願いした。
冊子編纂「僕の1日 資源を考える 暮らしの中のオーストラリア」これは、上記のシンポジュームと一体をなすプロジェクトであり、対象を少学校高学年生と中学生におき、資源の問題に目を開き関心をもってもらう事と、オーストラリアと私たちの暮らしの関わりを知ってもらうことを目的に、出来るだけビジュアルかつ分かりやすく作成した。部数8000部は希望される学校中心に配付しており、またオーストラリア大使館はじめご要望に応じ寄贈を行った。
3)エッセイーコンテスト「オーストラリアとの出会い」(平成7年11月開始、平成6年6月終了)全国から寄せられた243編の、オーストラリアとの様々な出会いを綴った、
1編およそ8000宇のエッセイ243編からJANZがお願いした審査員により22編の入選作を決め、最優秀のお2人には全日空のご好意によりオーストラリアの往復航空券をさしあげた。また、入選作を含め中学生からご年輩の方がたまで幅広い応援を頂いたことに感謝申し上げている。そして、入選作22編は、サイマル出版会から翌年2月コンテストと同名で出版された。
(7)調査・研究分野でも両国に関係のあるいくつかのテーマで、委託あるいは助成を受けて実施してきた。「ニュージーランドの地方自治調査」(東京都議会局委託 平成9年度)、「太平洋島嶼地域のマングローブ生態系保全にむけて」(イオン財団助成 平成9年度 この事業はマングローブの北限である日本と南限である豪州・ニュージーランドとの間での協力を提案するものであり、マングローブ植林行動計画のご協力を得て実施した)
「21世紀南太平洋島嶼諸国展望」(外務省委託 平成10年度南太平洋と関わりの深いわが国と豪州、ニュージーランドとの関係をひとつの軸にして報告書をまとめた)
(8)文化交流は、機会がある都度取組みたい分野であるが、実績としては、「オーストラリア室内管弦楽団公演主催」(平成8年9月 学習院)「クイーンズランド・ユース・オーケストラ公演共催」(平成9年1月 東京芸術劇場)である。またスポーツの分野では、「大相撲オーストラリア公演後援」(平成8年6月)がある。
(9)青少年交流促進 この分野の恒常的な事としては、いくつかの大学の学生による横断的組織でありJANZと姉妹関係にある日豪学生交換連盟を支援してきた。
また、平成10年度からは、いくつかの日豪協会・日本ニュージーランド協会と共同で少年による国際親善サッカー大会を実施してきた。平成10年は岩手県花巻市、平成11年はニュージーランドのアシュバートン市、平成12年は愛緩県新居浜市で、それぞれの地元が中心になり開催された。
青少年交流は今後さらに力を入れたい分野である。そのような思いから、たとえば上記クイーンズランド・ユース・オーケストラ公演にあたっても、とくに代々木のオリンピック青年村において日豪青年ニューイヤーパーティーを開いた。
(10)国内各地の日豪協会、日本ニュージーランド協会との交流および両国の豪日協会、
ニュージーランド日本協会との交流と提携・協力も大切にしている。日豪協会の全国大会は各地域の持ち回りで開催されているが、JANZは平成6年に続き平成12年11月に関東の他の協会とともに幹事協会として、多彩なゲストを招き盛況のうちに21世紀を迎える全国大会の東京開催を行ない、全国からの多数参加はもとよりオーストラリアからの参加を得た。また、JANZの歩みで述べた平成10年の70周年記念行事にも各地協会から約50人の参加を頂いている。一方奇数年に開催されるオーストラリア側の豪日協会の全国大会にも、他の協会ともども毎年参加し交歓している。
なお、ニュージーランドについては、平成12年から年1度、ニュージーランド学会と合同発表会・懇親会を開いている。このように、国内外の輪をますます広げていきたいと考えている。
(11)情報活動としては「JANZホームページ」がある。両国に関係する多様な情報の発信源になることを目指しつつ、ようやく緒についたところである。
(12) 自然災害等に対する緊急の復興支援活動及び義援金や支援金の募金事業として、平成21年2月に起きたニュージーランドのクライストチャーチにおける募金活動、また日本で発生した同年3月11日の東日本大震災においては、オーストラリア大使館・ニュージーランド大使館と連携し、被災者支援活動を積極的に行なっている。外国首脳の中で一番早く被災地入りをしたのがオーストラリアのジュリア・ギラード首相である。2012年2013年と東日本大震災のチャリティーコンサートとしてオーストラリア・サザンクロス大学の公演を後援している。