JANZコラムエッセイ-1
晴天に恵まれた週末にゴルフを楽しんでいたら、会社の先輩から「今、豪ドルを買っておくといいのではないか」と聞かれた。一時<豪ドル=105円前後だった豪ドルが最近は60円そこそこ。円高のうちに豪ドルを買っておけば、いずれ儲かるだろうというわけだ。
実はこの先輩は円が1米ドル=79円75銭という最高値をつけた13年前、すかさず米ドルを買い、ドルが上昇するのを待って儲けたことがある。といってもサラリーマンの世界の話であり、驚くような金額ではないのだが、ちょっとしたお小遣いになったらしい。あの夢をもう一度ということだろう。
結論を先に言ってしまえば、いま豪ドルを買えばいずれは儲かるだろう。世界の需要増大に応じきれず、資源が再び不足という時代が来る可能性はある。そうなれば資源大国オーストラリアの通貨が再び上昇するからだ。
問題は「それがいつになるのか?」というところにある。
現在は世界中の金融システムがまだ大きく揺らいでいる。震源地アメリカで大手銀行シティグループに追加の資本注入が行われる状態。欧州でもまだ揺れが収まったわけではない。金融システムというのは、金融機関が安定し、資金の流通が順調になって初めて機能する。相手の信用を疑えばだれも金を貸さない。銀行同士で不安にかられる状態では企業にも融資できない。世界経済全体が収縮する、という過程の中にある。
金融システム不安→信用収縮→景気悪化→資源価格の下落→世界同時不況という悪循環の図式がどこで止まり、好循環に反転するのかは、誰にもわからない。順調に進んだとしても3年から5年ぐらいはかかるというのが一般的な見方ではないだろうか。むしろ5年ですめばメデタシぐらいに思っておいたほうがよさそうな感じだ。
5年後の世界は、いまとはだいぶ景色が違うかもしれない。10年前なら世界の問題は米・英・仏・独・日・伊・加のG7+ロシアのG8のを中心に解決を図った。それが11月15日にはG20が集まり、緊急首脳会合(金融サミット)を開いた。G7+EU+BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)+アルゼンチン、インドネシア、オーストラリア、韓国、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、メキシコ。世界経済の9割を占めるという。逆に言えば、これだけ世界経済全体が拡大するとすれば、資源不足もいずれ再現するということなのかもしれない。